お知らせ
中小企業における働き方改革の推進方法・取り組み事例
お知らせ
2024.4.24
■「働き方改革」とは?
「働き方改革」は働く人々が個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革で、日本政府が「一億総活躍社会」の実現を目的として始めた取り組みです。
この背景には「少子高齢化」の影響で、日本の労働人口が減り続けているという深刻な問題があります。
また、「働き方改革」には長時間労働やサービス残業などの日本型労働慣行を改善し、働き手主体の職場環境、労働条件を確立する目的もあります。
■8つの関連法案
「働き方改革関連法」は以下の8つの労働関係の法律が改正されたものです。
- 労働基準法
- 労働契約法
- 労働安全衛生法
- 労働時間等設定改善法
- 労働者派遣法
- パートタイム労働法
- じん肺法
- 雇用対策法
改正のポイントを4つに分け、重要な部分を解説していきます。
1.「長時間労働の是正」に関する法案
時間外労働の上限規制が導入され、守らない企業には罰則が科せられることになりました。年5日の年次有給休暇の取得も義務化されました。
2.「多様で柔軟な働き方」を可能にするために導入された法案
「高度プロフェッショナル制度」や「フレックスタイム制の清算期間の延長」などが該当します。
3.「同一労働同一賃金」に関する法案
正社員でもパートでも正当な理由が無い限り同等な待遇にすべきであるという内容です。
4.「労働者の安全と健康を守る」法案
■猶予期間があった業種
「働き方改革」は2019年の4月に施行されましたが、施行までに一部猶予期間があった業種があります。
- 自動車運転の業務
- 建設事業
- 医師
- ⿅児島県及び沖縄県における砂糖製造業
以上の4つの業種は2024年4月以降、「時間外労働の上限規制」の猶予期間が終了しました。
「新技術・新商品の研究開発の業務」については、2024年4月現在も、36協定の適用から除外されています。
■中小企業において働き方改革を実践するには?
中小企業が「働き方改革」を実践していくには、リモートワークの推進、フレックスタイムの導入、時短勤務、ノー残業デーなど働き方そのものを変えていく必要があります。
しかし、これまで少ない人員で業務を行っていた企業がこれらを行うには、その前に生産性の改善などを図らないと現在の業務が立ち行かなくなるなどのデメリットも発生します。
中小企業では大きく5つの分野から取り組んでいくのがポイントです。
1.チームワーク改善
コミュニケーションツール、情報共有システムの導入、業務予定の共有、ナレッジマネジメント(※)などによってチームワークを改善していきます。コミュニケーションツール、情報共有ツールとしては「Microsoft Teams」などがあげられます。
※ナレッジマネジメント=各種ツールを活用して個々が経験してきたノウハウや知識を共有すること。
[活用例]過去に発生したトラブル事例を従業員で共有することによって、同じシーンに遭遇したときに、迅速な対応を可能にする。
2.分業の最適化
業務量の平準化、業務分担の見直し、専門分野の集約化、業務範囲の拡大・権限委譲、業務属人化の回避など。多能工化を推進していくことによって、業務効率を向上させていきます。
3.業務マネジメントの改善
業務システムの導入、指標(KPI)の整備・設定、意思決定プロセスの簡略化、生産性の見える化など。どんな業種にも必要な従業員の給与計算システムや、勤怠管理システムなどを導入することによっても、業務効率は向上します。
4.「無駄」の削減
ペーパレス化、会議時間の短縮、情報共有の徹底など。情報共有ツールやクラウドツールが導入されてペーパレス化が進むと職場にいなくても仕事が可能になり、多様な働き方に対応できるようになります。
また、コミュニケーションツールを使用したWeb会議なら場所を選ばずに開催できるため、会議に付随する移動や手間を省くことができます。
5.人・組織マネジメントの改善
業務知識向上、各人の業務マネジメント力向上、適正に合わせた配置、ワークライフバランスの最適化、個人の要望と会社の要望の一致化。これらも業務改善と同時に推進していく必要があります。
■取り組み事例
・スマホを活用した勤怠管理を取り入れることによって、現場から会社への移動の負担を軽減し、日誌もスマホから提出できるように改善。人材不足の解消にSNSで求職者に向けて社員の仕事風景をビジュアルで発信し、自社の魅力をアピールする取り組みの事例。
引用:ITの活用で人材不足解消と職場環境改善を実現
–DXで魅力ある職場づくり「有限会社山下組」の場合–
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/file156/
・育児、介護の理由に限らず多様な働き方を推進。「1on1ミーティング」を取り入れてコミュケーションの活性化にも注力。各種クラウドサービス等を活用した業務効率の改善の事例。
引用:自主性のある“個”が、明日の組織を創造する100年企業
―アナログとデジタルの融合で社会に“最適なコト”を提供するプロゴワスの場合―
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/file144/
・ノートPCとスマホ活用でペーパレス化を推進。誰でもどこにいてもセキュリティ対策万全の上でサーバにアクセスできる環境を実現した事例。
引用:現場も事務も全ての社員がテレワーク可能に
―コロナ禍を機に改革が進んだ菊正塗装店の場合―
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/file099/
・業務管理システムと勤怠管理システムの導入で従業員の労働時間管理を可能にし、長時間労働を改善した事例。
引用:ITを活用して働き方改革を推進
―事務作業の効率化と有給休暇取得促進を実現した「有限会社タムカンパニー」の場合―
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/file155/
・タブレット端末で生産を管理するシステムを構築しリアルタイムで進捗を確認、作業の遅れているラインに速やかに応援に入ることによって生産性を向上。3年連続時間外ゼロを達成。また、障害者が働きやすい環境を整えることによって多様な働き方に対応している事例。
引用:赤字体質脱却と「残業時間ゼロ」の同時達成
―ノーマライゼーション工場「希望の里ホンダ」の場合―
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/casestudy/file033/
■「働き方改革」のメリット
企業側のメリット
- 「働き方改革」を推進していくことで従業員の意識も変わり、生産性が向上する。
- 「働き方改革に力を入れている企業」と社会に見られることで企業イメージがアップして、優秀な人材の確保につながる。
- 働きやすい環境が整うことによって従業員が定着し、離職率が下がる。
- 生産性の向上によって時間外労働が減ることで、人件費が削減できる。
従業員側のメリット
- 子育てや介護と仕事を両立できるようになり、安定した収入を確保できる。
- 自分のライフスタイルに合った働き方ができるようになり、趣味を楽しんだり副業をしたり、より人生を充実させることができる。