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中小企業での人材育成のポイント
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2024.7.2
■経営課題の中で常に上位にある人材育成
日本能率協会による調査日本企業の経営課題2023によると、約半分の企業が「当面する企業の経営課題」として人材の育成を含む人材の強化を上位にあげています。
また、今後3年後、5年後の観点でも人材の強化が課題となるであろう、と考えている企業が多いこともわかります。(P8~P13参照)
このように中小企業の課題に関する調査で、常に上位にあるのが人材問題です。
今後少子高齢化の影響で労働人口が減少していくため、ますます人材育成の重要性が高まっていくと考えられます。
■中小企業における人材育成の課題
課題① 人材育成担当者の不足・不在
課題② 人材育成に割く時間がない
課題③ 人材育成のスキルが無い
課題④ 人材育成が終わる前に離職してしまう
課題⑤ 人材育成にコストをかけられない
常にギリギリの人員で業務を回している中小企業の場合、人材育成担当者が確保できないことや、日々の業務に追われて時間に余裕がないことが課題となります。
また、採用してもすぐに離職してしまうといったことが起こることで、人材育成に対して消極的になる側面もあるでしょう。
このような問題から、そもそも人材育成をあきらめている中小企業も多いようです。
■中小企業での人材育成の仕方、ポイント
〈採用の段階から入社後の育成を意識する〉
採用の段階から育成プランを立てておき、相応しい人材を採用することが望ましいですが、ミスマッチが起こらないように注意が必要です。せっかく育成にコストや時間をかけても、早期に離職してしまえば、無駄になってしまいます。
採用する際には求職者の経歴や実績を見るだけでなく、求職者が自社に対してどのようなことを期待しているのかを聞き取りし、労働環境などについてもあらかじめ十分に説明することが大切です。
採用の段階で、自社に合った長く働ける人材かを見極めることが離職率の低下にもつながります。
〈中小企業ならではの強みを知り、活かす〉
中小企業は経営者と社員の距離が近く、経営者自ら考えを発信できるため、企業の理念や方向性が伝わりやすいという強みがあります。
〈社員が自発的に行動する環境を作る〉
社員が自発的に行動するようになるには、まず仕事の全体像を把握し、会社での自分の役割、携わる仕事の意義を社員自身が理解できるように教育しましょう。
そのうえで、自分で考えて行動できるように個人目標などを設定し、定期的にフィードバックを行っていきます。社員自身が「成長したい」と思えるようになることが大切です。
また、自発的に行動すると、他者からの反応が気になるものです。社内のコミュニケーションを活性化し、心理的安全性(※)が確保された環境を作ることが重要になります。
※心理的安全性=組織の中で自分の考えや気持ちを安心して表現できる状態のこと。
〈OJTのメリット・デメリットを知る〉
OJT (On the job training)とは「職場内訓練」のことで、新入社員や新しく配属された人材に対して、マンツーマンで実務について実践的に指導することを指します。
〈OJTのメリット〉
・成長に合わせて指導できる
・訓練後は即戦力として活躍できる
・上司や先輩社員とコミュニケーションを取りながら行うことで早く会社に馴染むことができる
・指導を行う社員のスキルアップにもなる
〈OJTのデメリット〉
・実務の指導に特化しているため、視野が狭くなりやすい
・指導を行う社員の負担が大きい
・指導する社員のスキルによって育成結果に差が出る場合がある
〈 「見える化」を意識する〉
育成方法についてガイドラインを設定し、マニュアルを整備します。スキルの習得状況を可視化することによって効率的に育成ができます。また、データ化することによって人材育成のノウハウを積み上げていくこともできます。
■中小企業の人材育成をスムーズに行うための取り組み
〈育成テーマを明確にする〉
まず育成テーマ―を決めることで効率的に取り組むことができます。
〈評価制度の整備や定期的なフィードバックを行う〉
評価されることによって社員のモチベーションアップにつながるだけでなく、会社に必要な人材像が明らかになるメリットもあります。
〈属人化している業務はマニュアル化する〉
人材育成に限りませんが、属人化している業務はマニュアル化して誰でもわかるようにしておくことが必要です。
〈ベテランだけでなく、入社して数年の人材を指導者にする〉
入社して数年の社員であれば、新人の悩みに寄り添った指導がしやすく、指導を行う社員の成長にもつながります。また、ベテラン社員への負荷を軽減することもできます。
〈助成金・補助金を活用して人材育成の費用を作る〉
人材開発支援助成金は、労働者に対して職業訓練等を実施した際の、訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する公的制度です。
助成金には7つのコースがあり、助成金を活用するためには「雇用関係助成金に共通の要件等」を満たす必要があります。
(※記載の情報は全て2024年6月現在)
1.人材育成支援コース
2.教育訓練休暇等付与コース
3.人への投資促進コース
4.事業展開等リスキリング支援コース
5.建設労働者認定訓練コース
6.建設労働者技能実習コース
7.障害者職業能力開発コース
以下にピックアップする「人材育成支援コース」、「人への投資促進コース」、「事業展開等リスキリング支援コース」の3つのコースについては、eラーニングの利用にも助成金が適用されます。
■人材育成支援コース
職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を実施した場合に、経費や訓練期間中の賃金の一部について助成を受けられます。
令和6年度版パンフレット(人材育成支援コース)詳細版(R6.4.1~)[4.2MB]
■人への投資促進コース
デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等について助成を受けられます。
令和6年度版パンフレット(人への投資促進コース)詳細版(R6.4.1~)[4.1MB]
■事業展開等リスキリング支援コース
新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部について助成を受けられます。
令和6年度版パンフレット(事業展開等リスキリング支援コース)詳細版(R6.4.1~)[3.8MB]
☆助成金をどのように活用したらよいかよくわからないという場合には、活用事例を見てみるとイメージしやすいでしょう。
〈eラーニングなどのOFF-JTや人材開発の民間機関を利用する〉
OJTでの実践的な訓練の他に、人材開発の民間機関によるeラーニングやOFF-JT(※)を利用する方法もあります。
OFF-JTは業務のベースとなる基礎的な知識やスキルを体系的に学べ、OJTと組み合わせることでスキルアップへの相乗効果が期待できます。また外部に委託することで指導者の負担を減らすことができることもメリットの一つです。
※OFF-JT (Off the job training)=「職場外訓練」外部の講師による集合型研修や、社外に出向いてのセミナー、eラーニングなどがOFF-JTにあたる
■eラーニングのサービス3選
ブラウザベースでパソコンだけでなくスマホやタブレットでも受講可能。マニュアル不要で直感的に操作できるのが特徴です。
クラウド型eラーニングシステム。標準コースで900コース5000本以上の動画研修が受け放題で、ITスキル(Word、Excelなど)やコンプライアンス、ハラスメントをはじめとしたテーマ別研修も充実しています。
研修のプロが考えた階層別の研修からテーマ別研修まで、幅広いコンテンツが用意されています。eラーニングと連動したライブ型のオンラインレッスンもあり、他企業の参加者と一緒に学ぶこともできます。