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中小企業における内定辞退の現状と対策

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2024.7.2

中小企業における内定辞退の現状と対策

■中小企業の内定辞退率

少子化の影響で、現在採用市場は売り手市場であり、ほとんどの志望者は複数の企業に応募します。

せっかく労力とコストをかけて採用したのに辞退されてしまった、という悩みを持つ中小企業は多いのではないでしょうか。

株式会社リクルートが行った就職プロセス調査(2024年卒)「2024年3月度(卒業時点) 内定状況」によると、2024年の3月卒業時点の内定辞退率は63.6%という高い数値になっています。

この調査では、企業規模別に集計されていないため、具体的な数値は不明となっていますが、中小企業の内定辞退率は大企業より高いと言われています。人手不足が深刻化する中、なんらかの対策を行う必要があります。

〈内定辞退率の推移〉

2022年 61.1%

2023年 65.8%

2024年 63.6%

出典:株式会社リクルート 就職プロセス調査(2024年卒)「2024年3月度(卒業時点) 内定状況」

直近3年間の内定辞退率は60%台を推移しています。3人に内定を出したうち2人には辞退されてしまう、というような状況がここ数年間続いているということになります。

■構造上の課題

中途、新卒を問わず、中小企業は多くの場合、大企業の滑り止めとして応募されるため、より条件の良い企業から内定が出た場合、辞退されてしまうという構造があります。

また、中小企業の場合求人数自体が少ないため、辞退者を見込んで多めに内定を出すことによって計画していた採用枠を超えてしまうリスクもあります。

■新卒の内定辞退対策

〈面接時の対応に気を付ける〉

内定辞退理由の一つとして「面接時の対応が悪かった」というものがあります。

マイナビが行った2023年卒 学生就職モニター調査 5月の活動状況(P50参照)によると選考途中に辞退した理由について「面接官の態度が悪かった」、「面接官と一緒に働きたくないと思った」、「人事担当者の態度が悪かった」という回答が合わせて18%という結果が出ています。内定どころか、内定に漕ぎつける前に辞退されてしまっているということになります。

「高圧的な態度を取られた」、「嫌なことを聞かれた」、「こちらの質問に答えてくれない」など、入社後に職場で上司と部下という関係性になるかもしれない人物に対して不信感を持ってしまうと、入社したいと思えなくなるのは当然のことです。面接官や採用担当は「その企業の代表」という意識をもって真摯な対応を心掛けることが大切です。

〈雇用条件や待遇についてリアルな情報を伝える〉

「RJP(リアリスティック ジョブ プレビュー)」という理論があります。日本語で「現実的な仕事情報の事前開示」と訳され、仕事や組織の実態について良い面だけでなく悪い面も含めた、リアルな情報を提示することをいいます。

良い点と悪い点のバランスを考慮するなど、伝え方には工夫が必要ですが、求職者に対してリアルな情報で判断してほしい旨を伝えることで企業の誠実さを示し、信頼を得ることができます。また、入社後のギャップによる早期離職を防ぐことができるメリットもあります。

〈内定者フォローを行う〉

内定者フォローには入社前に内定者との交流の機会を設けることで企業理解を深め、内定者の不安や疑問を解消する効果が期待できます。

内定者フォローとして行うものには以下のようなものがあります。

①面談

内定を出したらなるべく早いうちに面談の機会を設けることが大切です。

待遇や福利厚生など内定者からは聞きにくいことは企業側から話すようにします。その他に、内定者に対する期待や、採用しようと決めた理由などを率直に伝えることで、内定者は「自分はこの企業から必要とされている」と実感することができるでしょう。

面談は内定者の不安や悩みを直接聞く貴重な機会でもあります。内定者からの質問ですぐに答えられないものは曖昧にせず、必ず改めて返事をするようにしましょう。

②職場見学

実際に職場を見ることで、自分が働いているイメージがしやすくなります。しかし、清潔感がない職場であったり、職場の雰囲気が悪かったりすると、せっかくの職場見学もマイナスの印象になってしまいます。

社員には事前に内定者の見学があることを周知しておく必要があります。説明を担当する社員だけでなく、手が空いている社員は内定者となるべく会話するよう心がけましょう。

③内定者懇親会

入社してから同期や先輩社員とうまくやっていけるだろうかと不安に思う内定者は多いと思います。

懇親会には内定者同士に限らず、既存の社員も参加することで入社前に縦横のつながりを作り、交流を深めることが出来ます。初対面の人たちの中でなるべく緊張しないように、相性の良さそうな人たちでグルーピングしたり、配属を予定している部署のメンバーと席が近くなるようにしたりするなど、配慮をすることが大切です。

懇親会の形態としては、従来からよくある業務後に会食や飲み会として行う以外に、業務時間内に座談会として行う方法もあります。職場見学の後に昼食時間を利用して懇親会を行うというのも、社員にも内定者にも負担が少ない方法でしょう。

■中途の内定辞退対策

〈入社の決め手となる要素を探り、自社の魅力をアピールする〉

中途採用の場合も、注意すべき点は新卒の採用と概ね同じですが、前職に何か不満があって転職を希望していることも多いと思われるため、面談で求職者のニーズを丁寧に聞き取りしましょう。

そのうえで求職者にとって魅力的であろうと思われる要素をアピールすることが大切です。

■新卒と中途の採用戦略自体を考える

内定辞退の対策を考えるとともに、本当に必要な人材が新卒、中途どちらで確保するのが最適か考える必要があります。

長期計画で育成する余裕があるなら新卒を採用、即戦力としてなら、すでに自社にとって必要なスキルを身に着けている中途の人材の中から採用する。または即戦力として中途を採用しつつ、同時に将来を見据えて新卒も採用して育成していく、という選択も考えられるでしょう。

また、その人材が新卒市場、転職市場にどのくらいいるのか、どのように内定辞退をさせずに入社まで漕ぎつけるのか具体的に考え、採用コストや採用にかけるリソースを新卒・中途に振り分けることが重要です。

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