お知らせ
中小企業の働き方改革の課題、補助金
お知らせ
2024.7.30
■働き方改革とは
働き方改革は労働環境を整えることで、「働く人たちがそれぞれの事情に応じた多様な働き方を、自分で選択できる社会」を実現するための取り組みです。
■働き方改革、3つの柱と3つのルール
働き方改革は、「労働時間の是正」「正規・非正規間の格差解消」「多様で柔軟な働き方の実現」の3つの柱をもとに成り立っています。この中で特に注目したいのが以下の3つのルールです。
〔時間外労働の上限規制〕
時間外労働の上限は原則として、月45時間・年360時間までとなり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。
また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも以下の範囲内となります。
・時間外労働 年720時間以内
・時間外労働+休日労働 月100時間未満、2〜6か月平均が全て80時間以内
・月45時間を超えることができるのは、年間6か月まで
※違反した場合には、6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦が科されるおそれがあります。
〔年次有給休暇の時季指定〕
年休が10日以上付与される労働者に対して、1年以内に年休のうちの5日について、使用者が取得時季を指定して与える必要があります。
労働者が自主的に5日の年休を取得していれば、会社が時季指定を行う必要はありません。
〔同一労働同一賃金〕
正社員と非正規労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されました。
これは賃金だけではなく福利厚生や、業務に必要な教育訓練の機会についても含まれます。
■まずはチェックしたい5つの対応項目
①時間外・休日労働と36協定
法定労働時間(1日8時間・1週間で40時間)を超えて労働を命じる場合に36協定の締結が必要となります。
また、36協定で定める時間外労働時間に、罰則付きの上限が設けられました。
厚生労働省:36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針
②労働条件の明示義務
すべての事業者は労働契約を結ぶ際に、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示することを義務づけられています。厚生労働省のホームページに参考になる「モデル労働条件通知書」があります。
厚生労働省:2024年4月から労働条件明示のルールが変わります
③就業規則の作成、届け出
常時10人以上の従業員を使用する事業場がある企業は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
就業規則の作成については、厚生労働省のホームページに参考になる「モデル就業規則」があります。
④賃金台帳、労働者名簿、年次有給休暇管理簿などの作成
労働基準法によって、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、年次有給休暇管理簿などを、「法定帳簿」として整備し、保存することを義務づけられています。帳簿の保存期限はいずれも3年間です。
厚生労働省のホームページには代表的な4帳簿についてのよくある指導事項が記載されています。
⑤非正規雇用者の待遇是正
同一労働同一賃金について是正を行うためには、まずは正社員と非正規雇用者の職務内容を明確にし、不合理な待遇差が無いかを確認する必要があります。
厚生労働省のホームページには原則となる考え方と具体例を示したガイドラインがあります。
■中小企業における、働き方改革の課題
中小企業は今、働き方改革に取り組まなくてはいけないのか?
働き方改革は企業規模にかかわらず、2019年4月から順次施行されており、2020年4月には中小企業にとって影響の大きい時間外労働の上限規制も適用され、違反した場合の罰則も設けられました。そのため、中小企業は否応なしに、今すぐ働き方改革に取り組む必要があります。
また、時間外労働の上限規制の適用を猶予されていた一部の業種、自動車運転の業務、建設事業、医師、⿅児島県及び沖縄県における砂糖製造業についても、2024年4月に適用が完了しています。
現在36協定の対象外の業種は、「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」のみとなりました。
中小企業でよくある課題
〔現状の働き方と乖離が大きい〕
残業ありきの業務体制になっていることで働き方改革に取り組むことが困難な企業も多く、業務の見直しをせずに残業だけを制限すると、サービス残業の温床になることが懸念されます。
〔就業規則や労働条件通知書をもともと作成していない〕
遵法意識が低く、就業規則や労働条件通知書を作成していない場合、労働基準法違反で30万円以下の罰金を科せられる恐れがありますので注意が必要です。
〔対応を進める担当者がいない、対応のリソースが割けない〕
働き方改革はリーダシップを持った人材が推進していく必要がありますが、業務が多忙で手が回らない、そもそもそのような人材がいない、といったケースもあります。
〔対応に必要な知識がない〕
働き方改革に取り組む意思はあっても必要な知識がなく、どこから手を付けたら良いのかわからない場合もあります。
企業統合、企業買収も視野に入れる
働き方改革を進めるには、ある程度の資本・規模が必要となる場合もあります。
業務改善が困難で、資金や人材の面でどうしても対応しきれないといった場合、事業の存続のためには企業の統合や業界再編も視野に入れる必要があるかもしれません。
■働き方改革に取り組む際、利用可能な補助金・助成金
〔働き方改革推進支援助成金〕
働き方改革推進支援助成金は、労働時間の縮減や年次有給休暇の取得促進に取り組む中小企業事業主に対して、環境整備等に要した費用の一部を助成するもので、以下の4つのコースがあります。
詳細は公式サイトにてご確認ください。
働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)
〔IT導入補助金〕
IT導入補助金は中小企業の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。まずは公式ホームページIT導入補助金2024や交付規程・交付要領を読んで申請・導入までのフローを確認し、理解を深めましょう。