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中小企業の業績にも大きく関わる、職場の人間関係を改善する方法、コツ
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2024.9.27
■人間関係の悪さが引き起こす、大きなマイナス影響
人間関係と生産性の相関関係には諸説ありますが、人間関係の良し悪しが社員のモチベーションに影響を与える一因であることは間違いありません。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズによる2023年 新人・若手の早期離職に関する実態調査 第1回によると、早期退職者の離職理由として「職場の人間関係がよくない、合わない」「上司と合わない」がそれぞれ3位と4位にランクインしており、離職の要因となっていることがわかります。
社員の離職は組織にとって損失であり、離職率が高くなると労働生産性にも大きなマイナスの影響を与えます。人間関係を改善していくことは中小企業が業績を上げていくためにも不可欠と言えます。
■中小企業において、まずは各人の傾向把握から
人間関係には各人の性格や傾向が大きく影響します。中小企業の場合、従業員数も少ないため、自身を含め各人の性格や価値観を把握することで人間関係の改善につなげられる可能性があります。
ネット上には性格診断ができるサイトがたくさんありますが、中でも信頼性の高いものを紹介します。
〔エニアグラム〕
日本エニアグラム学会によるエニアグラムの簡易タイプ診断
エニアグラムとは人間の性格を心理学に基づいて、9つのタイプに分類し性格を診断するツールです。自己理解や他者との関係性を深めるために用いられ、最近ではビジネスシーンでも人材活用や配置に活用されています。日本エニアグラム学会のwebサイトにはエニアグラムについての詳しい説明があります。
性格診断というと各タイプ間の相性が気になるものですが、エニアグラムは相性診断というより、異なる価値観を持つ相手を受け入れて、うまく付き合っていくために活用するツールと捉えましょう。
〔ビッグファイブ性格診断〕
ビッグファイブ性格診断は、「人間の基本的な性格は5つの特性(外向性・情動性・創造性・勤勉性・協調性)から成り立っている」とする理論をもとに作られた性格診断です。
【BIG5-BASIC】運営事務局が運勢するサイト内にはビッグファイブ理論についての詳しい説明があります。
※ビッグファイブ性格診断は多数あり、サイトによって5つの特性の表記に違いがあります。
■人間関係が実際どんな状態か簡単な診断で把握する
自分が人間関係によって、どのくらいのストレスを感じているのかを把握しておくことも、対策を考えるうえで大切です。
インターネットには簡単に診断できるツールがありますので、まずはセルフチェックをしてみるのも一つの方法です。
5分でできる職場のストレスセルフチェック(厚生労働省「こころの耳」Webサイトより)
ソシキスイッチストレスチェック無料体験版 (ソシキスイッチストレスチェックWebサイトより)
■上司と部下の関係性が最重要
カオナビHRテクノロジー総研の「上司と部下の関係性」に関する調査結果によると、約6割の社員が「上司からの理解が不十分」と回答しています。
また、この調査で「上司から理解されている」と回答した従業員の68%が「現在の職場に満足している」と回答しており、このことからも上司と部下の関係が、従業員満足度に大きな影響を与えることがわかります。
■管理職、経営者として気をつける点
管理職や経営者が気をつけることには、次のようなものがあります。
- 部下を常によく見て、部下が何を求めているのか考える
- 定期的に話す機会を設け、適切にフィードバックを行う
- 普段から話しやすい雰囲気を作る
- ポジティブな言動をこころがける
厚生労働省の「こころの耳」は働く人のメンタルヘルスポータルサイトです。部下を持つ上司に向けたeラーニングやコラムなどのコンテンツもあります。情報量が多く有用なサイトなため、目を通しておくことをおすすめします。
■改善策・改善例
人間関係が悪化している場合
人間関係がギスギスしていると感じる場合、職場内に「インシビリティ(礼節の欠如)」が起きているかもしれません。インシビリティとは、相手を傷つける意志は明確ではないものの、礼儀や思いやりを欠いた行動や言動のことを指します。
例えば声をかけても忙しいフリをして無視される、話を遮られる、メールやメッセージに返信してくれない、頼んだことをしてくれない、といった行動がインシビリティにあたります。インシビリティは連鎖しやすく、インシビリティ行為を受けた人が今度は他者にインシビリティ行為をする場合もあり、職場環境がさらに悪化してしまうこともあります。
〔CREWプログラムの導入〕
インシビリティを防ぐためには職場全体の意識を変えることが必要で、対話による相互理解が不可欠とされています。改善策としてアメリカ発祥のCREWプログラムの導入があります。CREWプログラムは職場の人間関係にアプローチして、働きやすい職場を作ることを目的としています。
実施方法のマニュアルが公開されており、中には事例も紹介されています。
人間関係が希薄化している場合
近年、働き方の多様化の影響もあり、人間関係は希薄化の傾向にあります。人間関係の希薄化によって、モチベーションが保てないと考える人がいる一方、必要以上のコミュニケーションを求めず、希薄な人間関係を気楽だと考える人もいるようです。
〔社内イベントの開催〕
希薄化する人間関係の改善策として、社内イベントの開催でコミュニケーションの機会を作ることが挙げられます。
グローバルプロデュースによる「社内コミュニケーションの希薄化に関する実態調査」によると、7割以上が「社内コミュニケーションの希薄化への打開策」として、「社内イベントの開催が有効」と考えていることがわかりました。また、調査によると、オンラインとオフラインを併用した「ハイブリッド形式」の社内イベントについては95.1%が「参加したい」と意欲を示しています。
社内イベントに関しては、しばしば参加率が問題になることがありますが、「ハイブリッド形式」で開催することによって参加のハードルを下げることができます。
■相談できるルートを複数用意する重要性
人間関係で困っている人にとって、誰に相談するかは悩ましいところです。ましてや悩みの原因が自分の上司にある場合、当人に直接相談するわけにもいきません。
このような場合を想定して会社としては、相談できるルートを複数用意しておくことが重要になります。
中小企業の場合専門のカウンセラーがいることは少ないと思いますので、直属の上司ではなく、その上の立場の人にも相談しやすい環境を作っておくことが必要になります。
産業医と契約している企業の場合は、社員が相談しやすいように産業医の連絡先を周知しておきましょう。